応用数学 第7回 (3) 特殊解の求め方:$R(x)$ が指数関数の場合
$R(x)$ が指数関数の場合
Th.7 (1) $f(\alpha) \neq 0$ ならば
$\qquad\dps{f(D)^{-1}\,e^{\alpha x}=\frac{1}{f(\alpha)}e^{\alpha x}}$
- $f(\alpha) = 0$ のときは、$\alpha$ を $f(X)$ の $p$ 重根とし、
$f(X)=(X-\alpha)^p\, g(X)$
と分解すれば
$\dps{f(D)^{-1}\,e^{\alpha x}=\frac{1}{g(\alpha)}\frac{1}{p!}x^pe^{\alpha x}}$
証明 (1) は
第6回の Th.6 (1) より。
(2) は
第6回の Th.11 (4) より
\begin{align}
f(D)^{-1}\,e^{\alpha x}
&=(D-\alpha)^{-p}g(D)^{-1}e^{\alpha x}\\
&=(D-\alpha)^{-p}\frac{1}{g(\alpha)}e^{\alpha x}\\
&=\frac{1}{g(\alpha)}e^{\alpha x}\underbrace{\int\cdots\int}_{p \mbox{ times}} e^{-\alpha x}e^{\alpha x}dx\cdots dx
=\frac{1}{g(\alpha)}e^{\alpha x}\frac{1}{p!}x^p. \\
\end{align}
(証明終)
※
第4回 (4) の Technique はこの (2) を使っています。
例題
Ex.8 $(D^3-5D+5)\,y=e^{2x}$
Th.7 (1) を使います。$f(X)$, $\alpha$ が何になるかまず考えてください。
解を見る
解
$f(X)=X^3-5X+5$, $\alpha=2$ の場合で、$f(2)=3\neq 0$ ゆえ
$\dps{y=f(D)^{-1}e^{2x}=\frac{1}{f(2)}e^{2x}=\frac{1}{3}e^{2x}}$.
Ex.9 $(D+1)^2(D^2+D+1)\,y=e^{-x}$
今度は
Th.7 (2) を使います。$f(X)$, $\alpha$, $p$, $g(X)$ が何になるかまず考えてください。
解を見る
解
$\alpha=-1$ が $f(X)=(X+1)^2(X^2+X+1)$ の 2 重根、$p=2$, $g(X)=X^2+X+1$ の場合で、
$\dps{f(D)^{-1}\,e^{-x}=\frac{1}{g(-1)}\frac{1}{2!}x^2e^{-x}=\frac{1}{2}x^2e^{-x}}$.