応用数学 第4回 (5) 定数変化法
定数変化法
今度は定数変化法で特殊解を求めます。
作戦
補助方程式 (8.2) の一般解 Y は、解空間の基底 y1, y2 を用いて
Y=Ay1+By2
の形をしていました。この定数 A, B を関数 u=u(x), v=v(x) に置き換えた
y=uy1+vy2
の形で (8.1) の解を探しましょう。
まず
y′=uy′1+vy′2+u′y1+v′y2
となりますが、この後ろの 2 項が
u′y1+v′y2=0
を満たす、という条件をつけてみます。
すると
y″=(uy′1+vy′2)′=uy″1+vy″2+u′y′1+v′y′2
ですから、これらを
(8.1) へ入れると
y″+ay′+by=(uy″1+vy″2+u′y′1+v′y′2)+a(uy′1+vy′2)+b(uy1+vy2)=u(y″1+ay′1+by1)+v(y″2+ay′2+by2)+u′y′1+v′y′2=R
y1,
y2 は補助方程式
y″+ay′+by=0
の解ですから
u′y′1+v′y′2=R
となります。
(8.7),
(8.8) を行列を使って書き直すと
(y1y2y′1y′2)(u′v′)=(0R)
y1,
y2 は一次独立ですからロンスキー行列式は 0 ではありません。
W=W(y1,y2)=|y1y2y′1y′2|≠0
よって逆行列が使えて
(u′v′)=1W(y′2−y2−y′1y1)(0R)=1W(−y2Ry1R)
∴ u′=−y2RW, v′=y1RW
∴ u=∫−y2RWdx, v=∫y1RWdx
以上から
Th.7
y1, y2 を補助方程式 (8.2) の一次独立な 2 つの解とすると、
y0=−y1∫y2RWdx+y2∫y1RWdx
は (8.1) の特殊解である。
積分定数も考えれば、この式は
y=(−y1∫y2RWdx+y2∫y1RWdx)+Ay1+By2
という
(8.1) の一般解を書いていることにもなります。
例
Ex.8 ( 例 8.3 ) y″+y=1cosx
補助方程式
y″+y=0 の一次独立な 2 つの解として
y1=cosx,
y2=sinx が取れます。
このとき
W=W(y1,y2)=1 (
前回の Ex.3 ) ゆえ、
y0=(−y1∫y2RWdx+y2∫y1RWdx)=−cosx∫sinx1cosx1dx+sinx∫cosx1cosx1dx=(cosx)log(cosx)+x(sinx)
また一般解は
y=(cosx)log(cosx)+x(sinx)+Acosx+Bsinx
となります。