数値解析 第5回 (3) 2階微分
2階の中心差分
次は $y''(x)$ の近似式を作ります。
アイデア Prop.2 の 2 つの式を今度は引いてみましょう:
$\dps{(3)-(4)=y''(x)h+O(h^2)}$
$h$ で割ると $y''(x)$ が出てきます:
$\dps{\frac{1}{h}((3)-(4))=\frac{y(x+h)-2\,y(x)+y(x-h)}{h^2}=y''(x)+O(h)}$
$h^2$ 以上の項を $h$ で割ると $h^1$ 以上の項になるので、一番右は $O(h)$ になっています。
Def.5 $y''(x)$ の近似式
$\dps{\frac{\delta^2 y}{\delta x^2}=\frac{y(x+h)-2\,y(x)+y(x-h)}{h^2}}$ $\cdots\cdots$ $(6)$
を2階の中心差分と呼ぶ。
アイデア では誤差は $O(h)$ のように書きましたが、
テイラー展開をちゃんと書けば実は $O(h^2)$ であることがわかります:
Prop.6
$\dps{\frac{\delta^2 y}{\delta x^2}}$ の近似誤差はおおよそ
$\dps{\left|\,\frac{1}{12}y^{(4)}(x)h^2\,\right|} =O(h^2)$
であり、刻み幅 $h$ の 2 乗オーダーになる。
証明
\begin{align}
y(x+h)&=y(x)+y'(x)h+\frac{1}{2}y''(x)h^2+\frac{1}{3!}y'''(x)h^3+\frac{1}{4!}y^{(4)}(x)h^4+O(h^5) \\
y(x-h)&=y(x)-y'(x)h+\frac{1}{2}y''(x)h^2-\frac{1}{3!}y'''(x)h^3-\frac{1}{4!}y^{(4)}(x)h^4+O(h^5) \\
\end{align}
より
$\dps{y(x+h) -2y(x) + y(x-h)=y''(x)h^2+\frac{2}{4!}y^{(4)}(x)h^4+O(h^5)}$
$\dps{\frac{\delta^2 y}{\delta x^2} = \frac{y(x+h) - 2 y(x) + y(x-h)}{h^2}=y''(x)+\frac{1}{12}y^{(4)}(x)h^2+O(h^3)}$
$\therefore$ $\dps{\left| \frac{\delta^2 y}{\delta x^2} - y''(x) \right| = \left| \frac{1}{12}y^{(4)}(x)h^2+O(h^3) \right| \mbox{≒} \left| \frac{1}{12}y^{(4)}(x)h^2\right|}$