組合せとグラフの理論(塩田)第11回 (5) 彩色数の上限についての定理
彩色数の上限についての定理
Th.12 $G$ の頂点の次数の最大値を $\rho$ とすると $\chi(G) \leqq \rho+1$.
証明 頂点数についての帰納法で示します。
頂点 $v$ を 1 つ取り $G'=G-v$ とおくと、$G'$ の頂点の次数も $\rho$ 以下ですから
帰納法の仮定により $\chi(G') \leqq \rho +1$. です。
そこで、$G'$ を $\rho+1$ 色以下で点彩色しておくと、
$v$ の隣接点は $\rho$ 個以下なので $\rho+1$ 色のうち $v$ に塗れる色がまだ残っています。(証明終)
例えば次のグラフでは $\rho=4$ です:
| → |
| → |
|
$G$ | |
$G'=G-v$ を 5 色で点彩色しておく | |
$v$ には 5 が塗れる |
$G$ が完全グラフでないときはこの上限はあと 1 つ下げることができます。
Th.13(Brooks) $\rho$ は
Th.12 のとおりとし、さらに
- $\rho \geqq 3$
- $G \not \cong$ 完全グラフ
であれば $\chi(G) \leqq \rho$.
証明はテキストの §18 にありますが、とても長いので省略します。