応用数学 第14回 (1) ラプラス変換を用いた微分方程式の解法

$\newcommand{\LT}{\mathscr{L}}$

教科書 例 4.1 (1)

 $t$ の関数 $x=x(t)$ についての以下の微分方程式を解きます。 1階線形微分方程式の公式を使っても解けますが、ラプラス変換を使って解いてみます。
$\dps{ \left\{ \begin{array}{l} x'-3x=e^{2t} \\ x(0)=2. \end{array} \right. }$
 $\LT(x(t))=X(s)$ とおくと、表 II 6 と初期条件 $\require{color}\textcolor{red}{x(0)=2}$ より
$\LT(x')=sX-\textcolor{red}{x(0)}=sX-\textcolor{red}{2}$.
よって 表 II 1 より
$\LT(x'-3x)=\LT(x')-3\LT(x)=(sX-2)-3X=(s-3)X-2$.
また 表 I 6 より
$\dps{\LT(e^{2t})=\frac{1}{s-2}}$.
従ってラプラス変換の世界では
$\dps{(s-3)X-2=\frac{1}{s-2}}$
となります ( このように $X$ の満たす方程式を 像方程式 と呼びます )。
$\therefore$  $\dps{X=\frac{1}{s-3}\left(\frac{1}{s-2}+2\right)=\frac{2s-3}{(s-3)(s-2)}}$.
$\therefore$  $\dps{x=\LT^{-1}\left(\frac{2s-3}{(s-3)(s-2)}\right)}$.
あとは前回やった逆変換の計算を使います。右辺を部分分数展開して
$\dps{\frac{2s-3}{(s-3)(s-2)}=\frac{3}{s-3}-\frac{1}{s-2}}$.
よって 表 I 6 より
$\dps{x(t)=3\,\LT^{-1}\left(\frac{1}{s-3}\right)-\LT^{-1}\left(\frac{1}{s-2}\right)=3e^{3t}-e^{2t}}$.
手順 は、$X(s)=\LT(x(t))$ とおいて、
  1. 微分方程式の両辺をラプラス変換する
  2. $X(s)=$ 何々 の形に直す
  3. ラプラス逆変換をして $x(t)=\LT^{-1}($何々$)$
です。

教科書 例 4.1 (2)

 これも特性方程式を使って解けますが、ラプラス変換を使って解いてみます。
$\dps{ \left\{ \begin{array}{l} x''+4x'+4x=0 \\ x(0)=1,\ x'(0)=-3. \end{array} \right. }$
 表 II 6 と初期条件より
$\LT(x')=sX-x(0)=sX-1$,
$\LT(x'')=s^2X-x(0)s-x'(0)=s^2X-s+3$.
よって \begin{align} \LT(x''+4x'+4x) &=(s^2X-s+3)+4(sX-1)+4X \\ &=(s^2+4s+4)X-(s+1) = (s+2)^2X - (s+1). \end{align} $\LT(0)=0$ ですから
$(s+2)^2 X= s+1$.
$\therefore$  $\dps{X=\frac{s+1}{(s+2)^2}=\frac{(s+2)-1}{(s+2)^2}=\frac{1}{s+2}-\frac{1}{(s+2)^2}}$.
よって 表 II 5, 表 I 3 より \begin{align} x(t)&=\LT^{-1}\left(\frac{1}{s+2}\right)-\LT^{-1}\left(\frac{1}{(s+2)^2}\right) \\ &=e^{-2t}\left\{\LT^{-1}\left(\frac{1}{s}\right)-\LT^{-1}\left(\frac{1}{s^2}\right) \right\} \\ &=e^{-2t}(1-t). \end{align}

教科書 例 4.1 (3)

$\dps{ \left\{ \begin{array}{l} x''+\lambda^2 x=f(t) \\ x(0)=a,\ x'(0)=b. \\ \end{array} \right.}$

ただし $\lambda$ は正の定数、$f(t)$ は与えられた関数とします。

 (2) と同様に \begin{align} \LT(x''+\lambda^2 x) &=(s^2X-sx(0)-x'(0))+\lambda^2 X \\ &=(s^2+\lambda^2)X-(as+b). \\ \end{align} ここで $\LT(f)=F$ とおくと
$(s^2+\lambda^2)X-(as+b)=F.$
$\therefore$  $\dps{ X=a\left(\frac{s}{s^2+\lambda^2}\right) +\frac{b}{\lambda}\left(\frac{\lambda}{s^2+\lambda^2}\right) +\frac{1}{\lambda}\left(\frac{\lambda}{s^2+\lambda^2}\right)F}$.
表 I 9-10 より
$\dps{\LT^{-1}\left(\frac{\lambda}{s^2+\lambda^2}\right)=\sin(\lambda t)}$,   $\dps{\LT^{-1}\left(\frac{s}{s^2+\lambda^2}\right)=\cos(\lambda t)}$
ゆえ、表 II 10 より \begin{align} x(t) &=a \cos(\lambda t) + \frac{b}{\lambda}\sin(\lambda t) + \frac{1}{\lambda} \sin(\lambda t) \ast f(t) \\ &=a \cos(\lambda t) + \frac{b}{\lambda}\sin(\lambda t) + \frac{1}{\lambda} \int_0^t \sin(\lambda (t-u)) f(u) du. \\ \end{align} あとは $f(t)$ によりけり、積分を計算することになります。