応用数学 第8回 (3) ルジャンドル関数

特殊関数のいろいろ

  1. ルジャンドル関数
    • 静電気、流体、熱などの物理現象には「ラプラス方程式」と呼ばれる微分方程式が現れます。
    • ラプラス方程式に変数変換を施すと、今度は「ルジャンドルの微分方程式」が得られます。
    • ルジャンドルの微分方程式を級数解法で解くことにより得られる関数をルジャンドル関数と呼びます。
  2. ベッセル関数
    • 惑星の運動は「ケプラー方程式」と呼ばれる微分方程式で表されます。
    • ケプラー方程式を解くことにより得られる関数をベッセル関数と呼びます。
このように特定の微分方程式の解として研究されてきた関数を「特殊関数」と呼びます。

ルジャンドル関数

 導出過程は述べませんが、
Def.4 パラメータ $N=0,1,2,\cdots$ を含む微分方程式 \begin{equation} (1-x^2)y''-2xy'+N(N+1)y=0 \tag{$\sharp$} \end{equation} をルジャンドルの微分方程式と呼ぶ。
 この一般解を求めましょう。 Ex.3 と同様に左辺の $x^n$ の係数を調べて係数比較をすると、次の漸化式が得られます: \begin{equation} \dps{c_{n+2} = \frac{(n-N)(n+N+1)}{(n+2)(n+1)}c_n}   ( n=0,1,2,\cdots ) \tag{$\flat$} \end{equation} すると Ex.3 と同様に、 $n$ が偶数のときは $c_0$, 奇数のときは $c_1$ で $c_n$ が表され、 \begin{align} f & = \dps{1 - \frac{N(N+1)}{2!}x^2 + \frac{(N-2)N(N+1)(N+3)}{4!}x^4 + \cdots} \\ g & = \dps{x - \frac{(N-1)(N+2)}{3!}x^3 + \frac{(N-3)(N-1)(N+2)(N+4)}{5!}x^5 + \cdots} \\ \tag{$\dagger$} \end{align} と置けば、
$y=c_0\,f + c_1 \, g$   ( $c_0$, $c_1$ は任意定数 )
が一般解になります。これらをルジャンドル関数と呼びます。
Rem.5 $f$, $g$ のうち一方は $N$次式で、他方は無限級数になる。
証明 $(\flat)$ に $n=N$ を入れると \begin{equation} \dps{c_{N+2} = \frac{(N-N)(N+N+1)}{(N+2)(N+1)}c_N = 0} \end{equation} すると再び $(\flat)$ から
$c_{N+4}=0$,   $c_{N+6}=0$,   $c_{N+8}=0$,   $\cdots$
がわかります。すなわち、$N$ が偶数なら $f$ が、奇数なら $g$ が $N$次式になり、他方は無限級数です。(証明終)
Def.6 $f$, $g$ のうち $N$次式である方を適切に定数倍して、
$x^N$ の係数 $\dps{=\frac{(2N)!}{2^N\times(N!)^2}}$
としたものを $P_N(x)$ と表し、$N$次のルジャンドル多項式と呼ぶ。
 $N=2$ ならば
$f = \dps{1 - \frac{2(2+1)}{2!}x^2 = 1 - 3x^2}$,   $\dps{\frac{(2\times 2)!}{2^2\times(2!)^2}=\frac{3}{2}}$
なので
$P_2(x) = \dps{\left(-\frac{1}{2}\right)\left(1 - 3x^2\right) = \frac{3}{2}x^2 -\frac{1}{2}}$
$N=3$ ならば
$g = \dps{x - \frac{(3-1)(3+2)}{3!}x^3 = x - \frac{5}{3}x^3}$,   $\dps{\frac{(2\times 3)!}{2^3\times(3!)^2}=\frac{5}{2}}$
なので
$P_3(x) = \dps{\left( -\frac{3}{2}\right)\left( x - \frac{5}{3}x^3 \right) = \frac{5}{2}x^3 - \frac{3}{2}x}$
といった感じです。
 ルジャンドル多項式は、3年次の「数値解析」でガウスの積分公式と呼ばれる強力な積分公式を導くのに使います。

補足