応用数学 第12回 (5) ディラックのデルタ関数
$\newcommand{\LT}{\mathscr{L}}$
ディラックのデルタ関数
Def.11 ディラックのデルタ関数とは、任意の関数 $\varphi(t)$ に対して
$\dps{\int_{-\infty}^{\infty} \delta(t)\varphi(t)\,dt = \varphi(0)}$
を満たし、
$t \neq 0$ のとき $\delta(t)=0$
となるような関数のこと。
※ 特に $\varphi(t)=1$ とすると
$\dps{\int_{-\infty}^{\infty} \delta(t)\,dt = 1}$
ですので、「 $t=0$ ただ1点での面積が $1$ 」というケッタイな代物ですが、とても役に立ちます。
( 普通の関数ではなくて、正しくは「超関数」というものです。)
そのラプラス変換は
Th.12 (1) $\LT(\delta(t))=1$.
(2) $\LT(\delta(t-\lambda))=e^{-\lambda s}$.
証明 (2) から示します。
\begin{align}
\LT(\delta(t-\lambda))
&=\int_0^{\infty} \delta(t-\lambda)e^{-st}\,dt \\
&=\int_0^{\infty} \delta(u)e^{-s(u+\lambda)}\,du \qquad (\ u = t-\lambda\ ) \\
&=e^{-s(0+\lambda)} = e^{-\lambda s}. \\
\end{align}
(1) は $\lambda=0$ の場合です。(証明終)