応用数学 第7回 (4) 定数係数同次線形微分方程式の解

定数係数同次線形微分方程式の解

 $f(X)$ を前ページの通りとするとき、定数係数 $n$ 階同次線形微分方程式
$f(D)\,y=0$   $\cdots\cdots$ $(\ast)$
の解の公式を作ります。
Def.7 $n$ 次方程式
$f(X)=0$
を $(\ast)$ の特性方程式と言い、その根を特性根と言う。
Th.8 
  1. $y=e^{\alpha x}$ が $(\ast)$ の解であること $\Leftrightarrow$ $\alpha$ が特性根であること
  2. $\alpha$ が特性方程式の $k$ 重根ならば、 $e^{\alpha x}$, $xe^{\alpha x}$, $\cdots$, $x^{k-1}e^{\alpha x}$ は全て $(\ast)$ の解である
  3. $f(X)$ の全ての根 $\alpha$ について (2) の形の関数を書き出すと、それらはちょうど $n$ 個あり、$(\ast)$ の解空間の基底を成す。
証明 (1) Th.6 (1) より $f(D)e^{\alpha x}=0$ $\Leftrightarrow$ $f(\alpha)e^{\alpha x}=0$ $\Leftrightarrow$ $f(\alpha)=0$.
  1. $f(X)=g(X)(X-\alpha)^k$ と書けますので、Th.6 (2) より
    $f(D)\{e^{\alpha x}x^j\}=e^{\alpha x}f(D+\alpha)\,x^j=e^{\alpha x}g(D+\alpha)D^k\,x^j.$
    $j \lt k$ ならば $D^kx^j=0$ ゆえ右辺は $0$ になります。
  2. (2) の形の関数が $n$ 個あることは根の重複度を考えればわかります。 それらが一次独立であることは少し長くなるので省略します。( 付録参照
Rem.9 特性根が複素数 $\alpha=\lambda + i \mu$ のときは、共役複素数 $\bar\alpha = \lambda-i \mu$ も特性根で、 それらの重複度を $k$ とすると
  • $e^{\lambda x}\cos(\mu x)$, $xe^{\lambda x}\cos(\mu x)$, $\cdots$, $x^{k-1}e^{\lambda x}\cos(\mu x)$
  • $e^{\lambda x}\sin(\mu x)$, $xe^{\lambda x}\sin(\mu x)$, $\cdots$, $x^{k-1}e^{\lambda x}\sin(\mu x)$
たちが $2k$ 次元分の基底になります。

やってみよう

(1) $y'''-5y''+6y' = 0$
(2) $(D-1)^4(D+3)^2\,y = 0$
(3) $(D^2+4D+13)^2\,y = 0$