数値解析 第8回 (4) ホイン法の誤差評価

ホイン法の誤差評価

Th.2 ホイン法の誤差は刻み幅 $h$ の 2 乗オーダー $O(h^2)$ である。
 証明にはやはりテイラー展開を用います。 ただし 2 変数関数が出てきますので少し予備知識を。
Lemma 3 2 変数関数 $f(x,y)$ のテイラー展開は \begin{align} f(x+s,\, y+t) &=\sum_{n=0}^{\infty}\left(s\frac{\partial}{\partial x}+t\frac{\partial}{\partial y}\right)^n f \\ &=f + f_x\times s + f_y\times t + (s,\,t\mbox{ について 2 次以上の項}) \\ \end{align} ただし
$f=f(x,y)$,$\quad\dps{f_x=\frac{\partial f}{\partial x}(x,y)}$,$\quad\dps{f_y=\frac{\partial f}{\partial y}(x,y)}$
 ここで $s$, $t$ について 2 次以上の項は、$s$, $t$ が小さいときは値としては非常に小さいものであることを心に留めておいてください。

 例えば $f=xy^2$ のときは、
$\require{color}f(x+\textcolor{red}{s},\, y+\textcolor{blue}{t}) =(x+\textcolor{red}{s})(y+\textcolor{blue}{t})^2$ ≒ $\mathop{\mathop{xy^2}\limits_{||}}\limits_{\mbox{$f$}} + \mathop{\mathop{y^2}\limits_{||}}\limits_{\mbox{$f_x$}}\,\textcolor{red}{s} + \mathop{\mathop{2xy}\limits_{||}}\limits_{\mbox{$f_y$}}\,\textcolor{blue}{t}$
という感じです。
Lemma 4 2 つの $t$ の関数 $x=x(t)$, $y=y(t)$ を 2 変数関数 $f(x,y)$ に入れ
$f(t)=f(x(t),y(t))$
とおくとき、
$\dps{\frac{df}{dt}=f_x\frac{dx}{dt}+f_y\frac{dy}{dt}}$
特に $x=t$ のときは
$\dps{\frac{df}{dx}=f_x+f_y\,y'}$

Th.2 の証明

  1. 真の値  $y(x_1)=$ ?

     簡単のため $x_0$, $y_0$, $y'(x_0)$, $f(x_0,y_0)$, $f_x(x_0,y_0)$, $f_y(x_0,y_0)$ を単に

    $x$,  $y$,  $y'$,  $f$,  $f_x$,  $f_y$
    と表します。まず
    $x_1=x+h$
    から
    $\dps{y(x_1)=y(x+h)=y+y'h+\frac{1}{2}y''h^2+O(h^3)}$
    $(9.7)$ より $y'=f$ ゆえ L'a 4 から
    $\dps{y''=\frac{df}{dx}=f_x+f_y\,y'=f_x+f_y\,f}$
    よって
    $\dps{y(x_1)=y+fh+\frac{1}{2}(f_x+f_y\,f)h^2+O(h^3)}.$

  2. 近似値  $y_1=$ ?

    $(9.10)$ より

    $\hat y=y+hf$
    ゆえ、$(9.12)$ より \begin{align} y_1 &=y+\frac{h}{2}\Big\{f+f(x+h,y+hf)\Big\} \\ &=y+\frac{h}{2}\Big\{f+f+f_xh+f_y(hf)+O(h^2)\Big\} \qquad \mbox{∵}\quad\mbox{L'a 3} \\ &=y+hf+\frac{1}{2}(f_x+f_yf)h^2+O(h^3). \\ \end{align}
  3. 1-2° より、ひと区間 $[\,x_0,x_1\,]$ で生じる誤差は
    $\dps{y(x_1)-y_1=O(h^3)}$
    です。目標点 $x=a$ までのステップ数は
    $\dps{\frac{a-x_0}{h}}$
    なので $x=a$ での誤差は
    $\dps{O(h^3)\times\frac{a-x_0}{h}=O(h^2)}$
となります。(証明終)