第5回の教材 (4)   相関関係と因果関係

相関関係と因果関係

 ふたつの量 $x$ と $y$ の間に相関関係があるとは
  • $x$ が大きいと $y$ も大きい傾向がある ( 正の相関 ), または
  • $x$ が大きいと $y$ は小さい傾向がある ( 負の相関 )
ということです。このとき次の3通りの因果関係があり得ます:
  1. $x$ が原因で、その結果として $y$ が変化する
  2. $y$ が原因で、その結果として $x$ が変化する
  3. $x$, $y$ に共通する別の原因 $z$ があって、その結果として $x$, $y$ が変化する
AI のアルゴリズムが「ブラックボックス化」されているために、 多くの場合、この3通りのどれなのかがわかりません。 原因を制御しなければ物事は改善しませんので、 相関関係を知っただけでは駄目で、 因果関係を見抜く力がデータサイエンティストには要求されます。

CO2 は悪者か

 CO2 が温暖化の原因であると世間では言われていますが、 CO2 と温暖化は相関関係があるだけで因果関係はない、 という主張も少なくありません (相関関係すら無い、と言う主張も存在しますが、それは置いておきます)

 そもそも人間が生産活動をすると、エネルギー効率が 100% でない限り、使えなかったエネルギーは環境を暖めてしまいます。 生産活動の何割かは CO2 を排出し、環境も暖める、人間の生産活動が原因で、CO2 と温暖化はその結果かもしれません。

 電気は CO2 を排出しないので温暖化をしない、という主張も正しくありません。 火力発電はエネルギーの約6割、 原子力発電 は約7割を環境に放出しています。 水力発電はダムの建設に、太陽光発電・風力発電もその設備の生産にエネルギーを使います。

 本当に CO2 は悪者なのでしょうか。 何が本当かは、皆さんが自分で考えていきましょう。