第12回の教材(1)   講義編 暗号技術
共通鍵暗号と公開鍵暗号
- 共通鍵暗号
1976年までの暗号は全て、暗号化の方法を知っている人は復号(読むこと)もできる「共通鍵暗号」でした。
暗号化と復号に共通な鍵(パラメータ)を使う、という意味です。
- 例えばネット通販でキャッシュカードの番号をやり取りするときには暗号化が必要ですが、
共通鍵暗号を使うとすると、
その暗号化鍵も暗号化して送信しなければならず、
そのための暗号化鍵にもまた暗号化が必要で ... と無限地獄にはまってしまいます。
- 公開鍵暗号
そこで、ネット上では「公開鍵暗号」が使われています。
これは暗号化と復号に別の鍵を用いる暗号方式で、
暗号化鍵を公開するにもかかわらず復号はできないように設計されています。
暗号化鍵は錠前、復号鍵は開錠鍵、のイメージです:
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→ |
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錠前を掛けてから送信してもらい |
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自分だけが持っている開錠鍵で開ける |
1976年に Diffie, Hellmann の2人によって初めて提唱された新しい暗号です。
公開鍵暗号を産み出したもの
公開鍵暗号の中で最もよく使われているRSA暗号は、
17世紀の数学者フェルマが発見した「フェルマの小定理」や、
紀元前に発見された「ユークリッドのアルゴリズム」などに基づいて設計されています。
ビットコインで少し有名になった楕円曲線暗号は、
楕円曲線論という、歴代の大数学者たちが関わってきた理論に基づいています。
もちろんそれらの研究は暗号を目的としたものではありません。
基礎研究を大切にするからこそ、その先に応用がある、ということを忘れないでください。
フィッシング詐欺に注意しましょう
ネット通販の例えをしたついでに。
- ネット通販会社を騙(かた)った詐欺メールがたくさん届きます。
- 「いますぐここをクリック」は絶対に無視してください。フィッシング詐欺です。
- 本物なら、通販会社のトップページからログインするように書いてあるはずです。
- 送信者のメールアドレスも「それらしく偽装」してあったりしますので気を付けましょう。