第9回の教材(1)   講義編 Web モラル(「情報モラル&情報セキュリティ」第6章)
良い言葉を使いましょう
- 現代人類が栄える直前はネアンデルタール人の天下でした。
脳の容積は現代人類より大きく、石器も用いていましたが、
約40万年前に出現して2万数千年前(別の説では約4万年前)に滅びるまで、
それ以上の道具を開発することはありませんでした。
- どうやら、ネアンデルタール人は満足に意思伝達できるような言語を持たなかったらしいのです。
現代人類は喉の構造に突然変異が起こり生存には不利になった代わりに、
多彩な母音・子音を出せるようになって、
言語を発達させ、意思の疎通・知識の伝承ができるようになったそうです。
家を建て服を着ないと生きてすらいけないような虚弱な生物がこれほど栄えているのは言語のお陰なのです。
- 思考は言語を用いて行われます(数式も科学言語です)。
よい言葉を使えば思考も精神も高尚になります。
逆に日頃から悪い言葉を使っていると人間が卑しくなります。
人として生まれてそれは情けないではありませんか。
- 小正月に行われる「戸祝い」と呼ばれる行事では子供たちが一軒一軒家を回ってお目出度い唄を唄います
(前回紹介した「カイロ講」もその一種です)。
一年の始まりにお目出度い言葉で脳を満たしてみんなハッピーになろうよ、という行事です。
ポジティブ・シンキングということを昔からやっていたのですね。
- 参考文献:島泰三「はだかの起原」(講談社文庫2497)
「リベンジ」という言葉は使わないで
- 日本人は「り」の音が好きらしくて、「り」で始まる言葉はすべて良い言葉のように錯覚している節があります。
「クビ」と言うと残酷な気がするけど「リストラ」と言うと罪悪感が無くなるとか、
「退職」と言うと寂しいけど「リタイヤ」と言うとまだまだこれから、みたいな。
- 最たるものが「リベンジ」。日本人が明るい顔で「リベンジ」と言うのを聞くと英語圏の人たちは背筋が凍る思いをするそうです。
英語の revenge には復讐、仇討ち、報復、そういった陰惨な意味しかありません。
- 試合に負けたら、自分に勝った相手をリスペクト(これも「り」で始まるなあ)して、
次の機会にはもっと良い試合ができるように精進をしよう、そう思える人間になりましょう。
- 参考:“復讐” それとも“再挑戦”? 「リベンジ」本当の意味とは
情報の信憑性
- 塩田は2011年に心臓が壊れてしまいまして、
Web で検索を掛けたら「良くなることはありません」「10年生きられる人はまれです」といった記事ばかり出てきて絶望しかけました。
しかしそれらは、治療法のまだ無かった時代の古い情報を安易にアップしただけだったのです。
- 情報の信憑性を確かめるためには
- 複数のサイトを見比べましょう
- 信頼できる発信源かどうかをチェックしましょう
- 記事が書かれた(更新された)日付をチェックしましょう
- 出典が明らかにされているかをチェックしましょう
- そして自分が情報発信するときは、責任をもって自分が正しいと確信の持てる情報を発信しましょう。