応用数学 第15回 (2) 積分方程式
$\newcommand{\LT}{\mathscr{L}}$
第1種ボルテラ型積分方程式
Def.1
未知関数 $x(t)$ に対し、与えられた関数 $f(t)$, $g(t)$ を用いて
\begin{align}
(g*x)(t)=\int_0^tg(t-u)x(u)du = f(t) \tag{7.1}
\end{align}
の形で表される積分方程式を第1種ボルテラ型積分方程式と呼ぶ。
とにかくひとつ例題をやってみましょう。
Ex.2 ( p.88, 演習問題 2, 10 (1) )
\begin{align}
\int_0^t \cos(t-u)x(u)du = 4e^t\sin(t)
\end{align}
左辺は $(\cos \ast x)(t)$ ゆえ、$\LT(x(t))=X(s)$ とおくと
表 II 10 より
$\LT(\cos(t))\,X=4\LT(e^t\sin(t))$
表 I 10, 12 より
$\LT(\cos(t))=\dps{\frac{s}{s^2+1}},\qquad \LT(e^t\sin(t))=\dps{\frac{1}{(s-1)^2+1}}.$
従って、像方程式は
$\dps{X=\frac{4(s^2+1)}{s(s^2-2s+2)}}$.
表 I が使えるように分解すると
$\dps{X=2\left(\frac{1}{s}\right)+2\left(\frac{s-1}{(s-1)^2+1}\right)+6\left(\frac{1}{(s-1)^2+1}\right)}$.
従って
表 I 3, 14, 15 より
\begin{align}
x(t)
&=2\LT^{-1}\left(\frac{1}{s}\right)+2\LT^{-1}\left(\frac{s-1}{(s-1)^2+1}\right)+6\LT^{-1}\left(\frac{1}{(s-1)^2+1}\right) \\
&=2\times 1+2e^t\cos(t)+6e^t\sin(t) \\
&=2+e^t\left(2\cos(t)+6\sin(t)\right). \\
\end{align}
( 教科書巻末の答は違うみたいです。)
第2種ボルテラ型積分方程式
Def.3
未知関数 $x(t)$ に対し、与えられた関数 $f(t)$, $g(t)$ を用いて
\begin{align}
x(t)-\int_0^tg(t-u)x(u)du = f(t) \tag{7.5}
\end{align}
の形で表される積分方程式を第2種ボルテラ型積分方程式と呼ぶ。
これもひとつ例題をやってみましょう。
Ex.4 ( p.88, 演習問題 2, 10 (2) )
\begin{align}
x(t)-\int_0^t (t-u)x(u)du = 1+2t
\end{align}
$\LT(x(t))=X(s)$ とおくと
表 II 10 より
$X - \LT(t)\,X=\LT(1)+2\LT(t)$
表 I 3 より
$\dps{X - \frac{1}{s^2}X=\frac{1}{s}+2\frac{1}{s^2}}$
従って、像方程式は
$(s^2-1)X=s+2.$
$\therefore$
$\dps{X=\frac{s+2}{s^2-1}=\frac{s}{s^2-1}+2\frac{1}{s^2-1}.}$
表 I 7, 8 より
\begin{align}
\therefore
x(t)
&=\LT^{-1}\left(\frac{s}{s^2-1}\right)+2\LT^{-1}\left(\frac{1}{s^2-1}\right)\\
&= \cosh(t) + 2 \sinh(t) \\
&=\frac{3e^t-e^{-t}}{2}.
\end{align}
このように積分の入った方程式もラプラス変換をすると代数的に解くことができます。