応用数学 第12回 (6) 畳み込み
$\newcommand{\LT}{\mathscr{L}}$
畳み込み
畳み込み ( 合成積、convolution ) の定義は、
フーリエ変換のときとは、
関数の定義域や積分区間が違っています:
Def.13 $t \geqq 0$ で定義されたふたつの関数 $f(t)$, $g(t)$ に対して
$\dps{(f \ast g)(t) = \int_{0}^{t} f(t-x)g(x)dx}$
を「 $f$ と $g$ の畳み込み」と呼ぶ。
※ ただし「 $f(t)$, $g(t)$ の値は $t \lt 0$ では $0$ 」だと解釈すれば
$\dps{(f \ast g)(t) = \int_{-\infty}^{\infty} f(t-x)g(x)dx}$
とも書けますので、これならフーリエ変換のときと同じものになります。
そして、フーリエ変換のときと同様に次が言えます:
Th.14 $\LT(f \ast g)=\LT(f) \times \LT(g)$.
証明
\begin{align}
\LT(f)(s) \times \LT(g)(s)
&=\int_0^{\infty} f(u)e^{-su}du \times \int_0^{\infty} g(v)e^{-sv}dv \\
&=\int_0^{\infty} \int_0^{\infty} f(u)g(v)e^{-s(u+v)}du dv \\
\end{align}
ここで
$t=u+v$, $x=v$
と変数変換すると、
積分領域は $\{\,(u,v)\,|\,u,\,v \geqq 0\,\}$ から
$\{\,(t,x)\,|\,t \geqq 0$, $0 \leqq x \leqq t\,\}$ に写り、
ヤコビ行列式は
$\dps{
\left|\,\frac{\partial(u, v)}{\partial(t,x)}\,\right|
=\left|
\begin{array}{rr}
1 & -1 \\ 0 & 1 \\
\end{array}
\right|
=1
}$
ゆえ
右辺
$\dps{=\int_0^{\infty} \left(\int_0^{t} f(t-x)g(x)dx\right)e^{-st}dt =\LT(f \ast g)(s). }$
(証明終)