応用数学 第6回 (2) 微分演算子 $D$
微分演算子 $D$
Def.1 $x$ の関数 $y=y(x)$ に 左から作用して $y'=y'(x)$ を返す演算子を $D$ と表す:
$D\,y=y'$
Rem.2
- $\dps{y' = \frac{dy}{dx} = \left(\frac{d}{dx}\right)y}$ ですから
$\dps{D=\left(\frac{d}{dx}\right)}$ と書いても良いのですが、簡単に $D$ ひと文字で書くことが役に立ちます。
- 微分するのは $D$ の右にある 関数です。
- $z\,D\,y$ のような書き方をするときは $z \times y'$ を表し、左側の $z$ は「 $z$ 倍 」を表します。
Def.3 多項式
$f(X)=a_0\,X^n + a_1\, X^{n-1} + \cdots + a_n$
があるとき、関数 $y$ に 左から作用する 演算子 $f(D)$ を
$f(D)\,y=a_0\, y^{(n)} + a_1\, y^{(n-1)} + \cdots + a_n\, y$
となるものと定める。
$\dps{D^ny=\left(\frac{d}{dx}\right)^n \! y=\left(\frac{d^n y}{dx^n}\right)=y^{(n)}}$ と考えて、
\begin{align}
f(D)\,y
&=(a_0\,D^n + a_1\, D^{n-1} + \cdots + a_n)\,y \\
&=a_0\,D^ny + a_1\, D^{n-1}y + \cdots + a_n\,y \\
&=a_0\, y^{(n)} + a_1\, y^{(n-1)} + \cdots + a_n\, y \\
\end{align}
と定めよう、ということです。
※ この記号を用いると、
$$
a_0\, y^{(n)} + a_1\, y^{(n-1)} + \cdots + a_n\, y = R(x)
\tag{10.1}
$$
は簡単に
$f(D)\,y=R(x)$
と書き表すことができます。
前ページの (1), (2) を鑑みると、
やりたいこと は次の2つです:
- 補助方程式 $f(D)\,y=0$ の解の公式を作ること
- 逆演算子 $f(D)^{-1}$ の公式を作って $f(D)\,y=R(x)$ の特殊解 $y=f(D)^{-1}R(x)$ をひとつ作ること
今日は (1) と、$f(D)^{-1}$ の公式を作るところまでをやります。