応用数学 第5回 (3) 補助方程式の解:解がひとつわかっている場合

解がひとつわかっている場合

Th.2 補助方程式 $(7.3)$ の非零解 $y_1=u(x)$ がひとつわかっているとき、
$\dps{y_2=u \times \int e^{-\int P\,dx}\frac{1}{u^2}dx}$
も $(7.3)$ の解であり、$y_1$, $y_2$ は一次独立である。
証明 $y=A\,u(x)$ が $(7.3)$ の解なので、定数変化法を用いて、 $y=u(x)v(x)$ の形の関数で $(7.3)$ の解を探してみましょう。
 $y=uv$ ならば、
$y'=u'v+uv'$,   $y''= u''v+2u'v'+uv''$
ゆえ \begin{align} (7.3) \mbox{ の左辺} & = ( u''v+2u'v'+uv'') + P(u'v+uv') +Quv \\ &= (u''+Pu'+Qu)v+(2u'+Pu)v'+uv'' \\ \end{align} です。$u$ は $(7.3)$ の解ですから最初の ( ) $=0$ で
$(2u'+Pu)v' + uv''=0$
となります。$uv'$ で割ると
$\dps{\frac{v''}{v'}+\frac{2u'}{u}+P=0}$
これを積分して
$\dps{\log(v')+2\log(u)+\int P\,dx=0}$
$\dps{\log(v'u^2)=-\int P\,dx}$
$\dps{v'=e^{-\int P\,dx}\frac{1}{u^2}}$
∴ $\dps{v=\int e^{-\int P\,dx}\frac{1}{u^2}dx}$
これを $y=uv$ へ入れて $y_2$ が得られました。右辺の被積分関数は $0$ ではないので $v$ は定数ではなく、 したがって $y_1=u$ と $y_2=uv$ は一次独立であることがわかります。(証明終)

Ex.3 ( 例 7.2 ) $x^2(\log x - 1)y'' - xy' + y = 0$  $\cdots\cdots$ $(1)$
 $y=x$ を $(1)$ の左辺に入れると
$x^2(\log x - 1) \times 0 - x \times 1 + x = 0$
となるので $y_1=u(x)=x$ はひとつの解です。Th.2
$\dps{P=-\frac{1}{x(\log x - 1)}}$
で適用すると
$\dps{-\int P\,dx=\log(\log x - 1)}$
$\dps{e^{-\int P\,dx}=\log x - 1}$
\begin{align} \int e^{-\int P\,dx}\frac{1}{u^2}dx &= \int \frac{\log x - 1}{x^2}dx \\ &= \left(-\frac{1}{x}\right)(\log x - 1) - \int \left(-\frac{1}{x}\right)\left(\frac{1}{x}\right)dx \\ &= -\frac{1}{x}(\log x - 1) -\frac{1}{x} = - \frac{\log x }{x} \end{align} よって
$\dps{y_2= u \times \left(-\frac{\log x }{x}\right) = -\log x}$
となり、$(1)$ の一般解は
$\dps{Y= A\, x+B\,\log x}$
となります。