応用数学 第4回 (2) 定数係数2階同次線形微分方程式
定数係数2階同次線形微分方程式
2階同次線形微分方程式は、係数が定数の場合
y″+ay′+by=0
には2次方程式を解くだけでカンタンに一般解が書けます。
Def.1 2次方程式
s2+as+b=0
を (8.2) の特性方程式と言い、その根を特性根と言う。
Th.2 (8.2) の一般解
Y は特性根を用いて次のように書ける:
- 特性根が異なる2つの実数 α, β のとき Y=Aeαx+Beβx.
- 特性根 α が重根のとき y=(Ax+B)eαx.
- 特性根が共役な複素数 λ±iμ のとき Y=eλx(Asin(μx)+Bcos(μx)).
証明 前回の Th.8 より、一次独立な解を2つみつければ宜しい。
-
eαx が (8.2) の解であることは
(eαx)″+a(eαx)′+b(eαx)=(α2eαx)+a(αeαx)+b(eαx)=(α2+aα+b)(eαx)=0
よりわかります。eβx も同様です。
eαx と eβx が一次独立であることは、
直接示しても簡単ですし、
前回の Ex.3, Th.4 からもわかります。
- α が重根ならば a=−2α ゆえ
(xeαx)″+a(xeαx)′+b(eαx)=(2αeαx+α2xeαx)+a(eαx+αxeαx)+b(eαx)=(2α+a)(eαx)+(α2+aα+b)(eαx)=0
となり、xeαx も解であることがわかり、
eαx と xeαx が一次独立であることも簡単に示せます。
- (1) とは実数か複素数かが違うだけで、e(λ+iμ)x, e(λ−iμ)x は2つの一次独立な解です。
オイラーの公式より
e(λ+iμ)x=eλx(cos(μx)±isin(μx))
ですから、eλxsin(μx), eλxcos(μx) も2つの一次独立な解になります。
(証明終)
Ex.3
前回の「鉛直ばね振り子」の微分方程式
X″+RmX′+kmX=0
は、
特性根が共役な複素数
λ±iμ (
λ<0 ) の場合で、三角関数の合成により
X(t)=Ceλxsin(μt+ν)
と書けますから
のような運動をします。
やってみよう 次の2階線形微分方程式の一般解を求めよ。
(1) y″+y′−2y=0 (2) y″+2y′+y=0 (3) y″−4y′+5y=0
解
- 特性方程式:s2+s−2=0, 特性根 =1, −2 より y=Aex+Be−2x
- 特性方程式:s2+2s+1=0, 特性根 =−1 (重根) より y=(Ax+B)e−x
- 特性方程式:s2−4s+5=0, 特性根 =2±i より y=e2x(Asinx+Bcosx)
定数係数 n 階同次線形微分方程式の場合
一般に
y(n)+a1(x)y(n−1)+⋯+an(x)y=0
についても、特性方程式
sn+a1sn−1+⋯+an=0
を考えます。特性根
α が
m 重根のときに
m 個の関数
eαx, xeαx, ⋯ , xm−1eαx
が
(∗) の解となり、
全ての特性根についてこのような関数を書き出すと
(∗) の解空間の基底が得られます。
例えば、特性方程式が
(s−1)2(s+1)3=0
であれば
ex, xex; e−x, xe−x, x2e−x
が解の基底になります。