応用数学 第2回 (1) 1階線形微分方程式
1階線形微分方程式
Def.1 次の形の微分方程式を1階線形微分方程式と呼ぶ。
$$
\frac{dy}{dx}+P(x)y = Q(x)
\tag{4.1}
$$
$x$ の関数を係数とする、$y$ と $y'$ の一次の ( = 線形の ) 方程式、という意味です。
Th.2 $(4.1)$ の一般解は
$$
y=e^{-\int P\,dx}\left\{ \int \left( e^{\int P\,dx} \times Q \right)\,dx + C \right\}
\tag{4.2}
$$
証明 天下り的ですが、
$\dps{\frac{d}{dx}\left(e^{\int P\,dx} y\right)
= e^{\int P\,dx}\left(\frac{dy}{dx}+Py\right)=e^{\int P\,dx}\times Q}$
なので、両辺を積分すればおしまいです。(証明終)
別証明 今度は
「上手に $y(x)=u(x)v(x)$ の形に分解して $(4.1)$ を見易くする」
という作戦を取ってみます。$y=uv$ のとき
$\dps{\frac{dy}{dx}=u\frac{dv}{dx}+v\frac{du}{dx}}$
ですから、これを $(4.1)$ へ入れると
$\dps{u\frac{dv}{dx}+v\frac{du}{dx}+Puv=Q}$
∴ $\dps{u\left(\frac{dv}{dx}+Pv\right) + v\frac{du}{dx}=Q}$ $\cdots$ $(a)$
ここで
$\dps{\left(\frac{dv}{dx}+Pv\right)=0}$ $\cdots$ $(b)$
を満たすように関数 $v(x)$ を定めましょう。これは変数分離形で
$\dps{\frac{dv}{dx}=-Pv}$
$\dps{\int\frac{dv}{v}=\log v =-\int P\,dx}$
∴ $\dps{v=e^{-\int P\,dx}}$ $\cdots$ $(c)$
$(b)$, $(c)$ を $(a)$ に入れて
$\dps{\frac{du}{dx}=e^{\int P\,dx} \times Q}$
∴ $\dps{u=\int e^{\int P\,dx} \times Q\,dx+C}$
これと $(c)$ を $y=uv$ に入れれば $(4.2)$ が得られます。
Ex.3 ( 問 4.1 (5) ) $y' \cos x+ y\, \sin x = 1$
解 $\cos x$ で割れば
$\dps{y' + y\, \tan x = \frac{1}{\cos x}}$
の形で、$P=\tan x$, $Q=\dps{\frac{1}{\cos x}}$ の場合です。
$\dps{\int P\,dx=\int \tan x\, dx = - \int \frac{(\cos x)'}{\cos x} dx = -\log(\cos x)}$
$\dps{e^{\int P\,dx}=\frac{1}{\cos x}}$
$\dps{\int e^{\int P\,dx} \times Q\,dx=\int\frac{1}{\cos^2 x}}dx = \tan x + C$
よって
$\dps{y=\cos x(\tan x + C) = \sin x + C \cos x}$.
※ 途中、$\dps{\int P\,dx}$ では積分定数を省略していますが、$P$ の原始関数が1つ欲しいだけですので構いません。
やってみよう ( 問 4.1 (1) ) $y'+y=x$
解を折りたたむ
$P=1$, $Q=x$ の場合で
$\dps{\int P\,dx=x}$, $v=e^{-x}$
\begin{align}
\therefore y
=e^{-x}\left(\int e^x x \, dx\right)
&=e^{-x}\left(e^x x - \int e^x \,dx\right) \\
&=e^{-x}\left(e^x x - e^x + C\right)
=x - 1 + Ce^{-x}.\\
\end{align}
別解を折りたたむ
$y''+y'=1$, $y'''+y''=0$ となるので
$y''=Ce^{-x}$,
$y'=-Ce^{-x}+D$,
$y=Ce^{-x}+Dx+E$
すると
$y'+y=Dx +(D+E)=x$
ゆえ $D=1$, $E=-1$ で
$y=x-1+Ce^{-x}$.