応用数学 第4回 (3) 線形微分方程式の攻め方

2階線形微分方程式

 まずは定義から。
Def.5 $x$ の関数 $y=y(x)$ に関する次の形の微分方程式を2階線形微分方程式と言う: $$ y''+P(x)\,y'+Q(x)\,y=R(x) \tag{7.2} $$ ただし、$P(x)$, $Q(x)$, $R(x)$ は与えられた $x$ の関数とする。
 $x$ の関数を係数にした $y$, $y'$, $y''$ の一次方程式、というネイミングです。
Def.6 $(7.2)$ の右辺を $=0$ に置き換えた微分方程式を $(7.2)$ の補助方程式と呼ぶ: $$ y''+P(x)\,y'+Q(x)\,y=0 \tag{7.3} $$ また、この形の微分方程式を2階同次線形微分方程式と言う。
 補助方程式、と呼ぶのは何故かというと
Th.7 $(7.2)$ の一般解 $y$ は、ひとつの特殊解 $y_0$ と、補助方程式 $(7.3)$ の一般解 $Y$ の和である:
$y=y_0 + Y$
証明 $y$ も $y_0$ も $(7.2)$ の解なので \begin{align} y''\,+P(x)\,y'\,+Q(x)\,y\ &= R(x) \\ y_0''+P(x)\,y_0'+Q(x)\,y_0 &= R(x) \\ \end{align} 辺々引けば
$(y-y_0)''+P(x)\,(y-y_0)'+Q(x)\,(y-y_0) = 0$
となり、$Y=y-y_0$ は $(7.3)$ の一般解になります。(証明終)
Th.8 補助方程式 $(7.3)$ の解の集合は 2 次元のベクトル空間を成す。 従って、$(7.3)$ の 2 つの一次独立な解 $y_1$, $y_2$ を用いると一般解 $Y$ は
$Y=c_1\,y_1+c_2\,y_2$  ( $c_1$, $c_2$ は定数 )
と書ける。
証明 $Y$, $Z$ を共に $(7.3)$ の解とすると \begin{align} Y''+P(x)\,Y'+Q(x)\,Y &= 0 \\ Z''+P(x)\,Z'+Q(x)\,Z &= 0 \\ \end{align} 辺々足せばば
$(Y+Z)''+P(x)\,(Y+Z)'+Q(x)\,(Y+Z) = 0$
となり、$Y+Z$ も $(7.3)$ の解になります。 また $Y$ の実数倍 $cY$ も
$(cY)''+P(x)\,(cY)'+Q(x)\,(cY) = 0$
を満たします。 すなわち $(7.3)$ の解は足すことも、実数倍することもできますので、ベクトル空間を成します。 2階微分方程式の解は 2 個の任意定数を含むので、その次元は 2 ということになります。 (証明終)

2階線形微分方程式の攻め方   ここ大事!

 Th.7, Th.8 から、$(7.2)$ を解くことは次の 2 つの作業に分けられます:
  1. $(7.2)$ の特殊解 $y_0$ をひとつみつけること
  2. 補助方程式 $(7.3)$ の一次独立な 2 つの解 $y_1$, $y_2$ をみつけること
このとき、$(7.2)$ の一般解 $y$ は
$y=y_0+c_1\,y_1+c_2\,y_2$  ( $c_1$, $c_2$ は定数 )
となります。