高知大学理学部平成１２年度専門コア情報処理演習 '00

平成１２年度専門コア情報処理演習 _y
（理学部数理情報科学科イ組対象、塩田教官） _y
１１月７日の教材

今日は grep コマンドを用いた検索の勉強をします。
練習のために、~shiota/staff を自分のホームディレクトリにコピーしておいてください。

cp　~shiota/staff　.　
staff は情報科学コースのスタッフの名前を書いたテキストファイルです。

cat　staff
　
Hisao Okamoto *Chief　
Hidehisa Naganuma
Osamu Konishi
Hideaki Matsueda
Tokio Kikuchi
Teruaki Nakagomi
Munehiko Ito
Ken-ichi Shiota
Rie Honda
Yuichiro Mori
Ryo Okamoto

□　grep コマンド

grep コマンドの基本形式は、

grep　検索文字列　ファイル名　
です。指定したファイルの中から検索文字列に一致する文字列を含む行を探して表示します。
たとえば staff というテキストファイルの中で、 Hi を含む行を検索しましょう。

grep　Hi　staff

□　grep コマンドをフィルタにする

grep コマンドはフィルタとして使用できます。この場合はファイル名は指定せず、標準入力に対して検索を行います。
例えば、今使っているマシンへの過去のログイン情報を表示する last というコマンドがありますが、この中から自分に関する情報を取り出してみましょう。

last　-100　|　grep　00ssXXX　
次の様な表示が現われるはずです。

00ssXXX console Tue Nov 7 14:45 ログイン中です
....
（ -100 は過去100回のログイン情報、という意味です。）
指定文字列を含まない行の検索をするには、 -v オプションを使います。 shutdown を除いた過去のログイン情報を表示してみましょう。

last　-100　|　grep　-v　shutdown

□　検索文字列のパターン要素

検索文字列は単純な文字列だけではなく、次のようなパターン要素を組み合わせることで複雑な検索を行なうことができます。

^	行頭
$	行末
.	任意の1文字
[...]	大括弧の中の任意の1文字と一致する1文字
[^...]	大括弧の中の任意の1文字と一致しない1文字
*	直前の文字または正規表現（パターン）の0回以上の繰り返し
.*	0文字以上の任意の文字列
￥(\)	エスケープ（次の文字の特別な意味をなくす）

まず初めに、 grep コマンドにとっての特殊文字の中には、 Cシェルにとっても特殊な意味を持つ文字があります。このようなときは、特殊文字をバックスラッシュ（￥）でエスケープするか、シングルクォート（’）で検索文字列を囲んでやる必要があります。
サーカムフレックス（＾）は行頭を表します。

grep　'^T'　staff　
ドル記号（＄）は行の終わりを表します。

grep　'mi$'　staff　
ピリオド（．）は任意の1文字を表します。（Cシェルコマンドラインでの？に相当します。）例えば ^...eとすると、先頭から４文字めが e である、ということになります。

grep　'^...e'　staff　
アスタリスク（＊）が文字またはパターンの後ろについたときは、 「その文字またはパターンが 0 回以上任意回数繰り返される」と解釈します。 0 回も許されるので注意が必要です。
/usr/dict/words には英語のスペルチェック用の辞書があります。これを使ってパターンマッチングの練習をしてみましょう。例えば "n" が1文字以上続いた後に m が来る単語を検索するには次のようにします。

grep　'nn*m'　/usr/dict/words　
また、 "o" が2文字以上続いた後に p が来る単語を検索するには次のようにします。

grep　'ooo*p'　/usr/dict/words　
ドル記号やアスタリスクなどの特殊文字を含む行を検索するには、 バックスラッシュ（\,￥）を付けてエスケープします。

grep　'\*'　staff　
大括弧 [ ] で囲むと、その中の1文字と一致する文字を検索します。

grep　'^[PQR]i'　staff　
サーカムフレックス（＾）が大括弧の中にあると、 その後の文字と一致しない という意味になります。

grep　'^[^P-R]i'　staff　
スペースを含む文字列を検索する時には、検索文字列全体をダブルクォート（"）で囲みます。

grep　"o　O"　staff

□　今日の課題

last -100 から shutdown だけでなく reboot も取り除いて表示しなさい。（結果を 001107a というファイルに保存しなさい。）
/usr/dict/words の中から数字の入った単語を取り出しなさい。（結果を 001107b というファイルに保存しなさい。）
/usr/dict/words の中から a で始まって b で終わる単語を取り出しなさい。（結果を 001107c というファイルに保存しなさい。）

あとで皆さんのファイルをチェックして今日の出席に替えます。

□　発展課題

自分宛のメールは /var/mail/00ssXXX (00ssXXX は自分のユーザ ID) に入っています。このファイルをメールスプールと呼びます。また、１通のメールは 'From ' (Fromと空白) で始まる行から始まります。これを、ここではメールセパレータと呼ぶことにします。
メールスプールから、メールセパレータを取り出し表示しなさい。（結果を 001107d というファイルに保存しなさい。）
メールセパレータに表示されるメールアドレスは「本当の」送信人です。これは、時には自動転送するプログラムが付ける名前であったりします。「名義上」の送信人は 'From: ' で始まる行に書いてあります。
メールスプールから、名義上の送信人の行を取り出して表示しなさい。（結果を 001107e というファイルに保存しなさい。）
（それぞれ結果をメールツールの表示と比較してください。）

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