数値解析 第7回 (5) ガウスの積分公式が優れている理由

ガウスの積分公式が優れている理由

 Case 1 : $\dps{\int_{-1}^1 f\,dx}$ で説明します。
  1. ラグランジュ補間多項式 $p(x)$ とは
    $p(t_k)=f(t_k)$  ( $t=1,2,\cdots, m$ )
    を満たす多項式でした。
  2. 従って、方程式
    $f(x)-p(x)=0$
    は $t_k$ ( $t=1,2,\cdots, m$ ) を全て解に持ちます。
  3. 因数定理により、$f(x)-p(x)$ のテイラー展開は
    $(x-t_1)(x-t_2)\cdots (x-t_m)$ $\cdots\cdots$ $(\ast)$
    で割り切れます。
  4. $t_k$ ( $t=1,2,\cdots, m$ ) は $P_m(x)$ の根なので、$(\ast)$ は $P_m(x)$ の定数倍です。
  5. 3-4° により
    $f(x)-p(x)=P_m(x)(b_0+b_1x+b_2x^2+\cdots)$ $\cdots\cdots$ $(\sharp)$
    と書くことができます。
  6. よって近似誤差は、記号 $\newcommand{\ip}[2]{\langle\,#1, #2\,\rangle}\ip{\ }{\ }$ を用いて書けば \begin{align} \int_{-1}^{1}(f(x)-p(x))dx &=\int_{-1}^{1}P_m(x)(b_0+b_1x+b_2x^2+\cdots)dx \\ &=\ip{P_m}{\sum_{k=0}^{\infty}b_k x^k} \\ &=\sum_{k=0}^{\infty}b_k \ip{P_m}{x^k} \\ \end{align}
  7. すると Cor.6 より $k \lt m$ については $\ip{P_m}{x^k}=0$ なので、
    近似誤差 $ \require{color}\dps{= \sum_{\textcolor{red}{k=m}}^{\infty}b_k \ip{P_m}{x^k}}$
    となり、式 $(\sharp)$ の $x^m$ 以上の 高次の項しか誤差に関与しない ことがわかります。 展開式の 高次の項は値として非常に小さい ので、誤差も非常に小さくなる、という理屈です。