復讐するアスリート   ― 塩田研一覚書帳 ―
入院したとき、暇つぶしに読んでいた文庫本に風野真知雄さんの「妻は、くノ一」シリーズがあります。
登場人物の一人、松浦静山(まつら せいざん)は実在の人で、第9代の平戸藩主。
随筆集『甲子夜話』が有名ですが、剣術の達人でもあり、野村克哉さんがよく口にされる
勝ちに不思議の勝ちあり 負けに不思議の負けなし
という言葉は、この殿様の『剣談』という剣術書が原典だそうです。
負けは自らに原因がある。その原因に目を向けて、より「道」を極めよ、と。
みなさん、「リベンジ」という外来語を日本から無くしましょうよ。
英語の revange は、復讐、仇討ち、仕返しという意味です。
それ以外の意味はありません。
正直に生きている人にとっては、一生口にしたくない、卑しい、陰惨な言葉です。
それが外来語の「リベンジ」になると、何かとても良い事のような使われ方をしています。
実に嘆かわしいことです。
そもそも、スポーツの勝負に負けたアスリートがすべきことは何でしょう。
自分に勝った相手を称え、次の機会の為に更なる精進を誓うことでしょう。
決して、自分を負かした相手を恨んだり、復讐を誓ったりすることではないはずです。
英語圏の人たちが聞いたら、日本人はなんと野蛮な民族だと思うでしょうね、
スポーツで負けた位でいちいち復讐を口にするなんて。
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