なぜこの世は3次元か   ― 塩田研一覚書帳 ―

 ウルトラマンシリーズの中にミラーマンというヒーローがいます。 父親は2次元人、母親は3次元人という設定だそうです。 ところが、2次元には知能を持った生物は存在しないよ、というお話を。

 グラフ理論で平面性というのをやります。 辺を交差させずにグラフを平面に描画できるか否かという問題です。 例えば立方体グラフは下左図のように描くと辺が交差していますが、 真上から見たように下右図のように描くと辺が交差しません。 辺を交差させずに平面に描画できるグラフを平面的、そうでないグラフを非平面的であると言います。
 
 現実世界では次のような問題と関わっています。 電気回路の素子を頂点、配線を辺として抽象化したグラフを考えてみましょう。 もしこのグラフが平面的なら、配線が交差しませんので、その回路は1層の基板で設計できます。 非平面的だと2層以上の基板が必要になります。

 平面性の要は K5, K3,3 という2つの簡単なグラフです。
 
K5
 
K3,3
これらのグラフを平面上に描画すると、どう頑張っても辺の交差ができてしまいます:
 
 さら「にクラトフスキーの定理」という大定理がありまして、グラフが平面的であることは、 そのグラフの中に K5 も K3,3 も(本質的に)含まれないことと同値であることがわかっています。

 思考というのは、脳の神経細胞が自由に配線をできるから可能なのでありまして、 もし2次元に生物がいたとしても、その「自由な配線」は不可能、従って思考をするということも不可能になります。 少なくとも私たちは思考をしているわけですから、この世界は3次元以上である必要がある訳です。

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