第13回 補足資料 相関関係と因果関係

相関関係と因果関係

 ふたつの量 $x$ と $y$ の間に相関関係があるとは
  • $x$ が大きいと $y$ も大きい傾向がある ( 正の相関 ), または
  • $x$ が大きいと $y$ は小さい傾向がある ( 負の相関 )
ということです。このとき次の3通りの因果関係があり得ます:
  1. $x$ が原因で、その結果として $y$ が変化する
  2. $y$ が原因で、その結果として $x$ が変化する
  3. $x$, $y$ に共通する別の原因 $z$ があって、その結果として $x$, $y$ が変化する
AI のアルゴリズムが「ブラックボックス化」されているために、 多くの場合、この3通りのどれなのかがわかりません。 原因を制御しなければ物事は改善しませんので、 相関関係を知っただけでは駄目で、 因果関係を見抜く力がデータサイエンティストには要求されます。

CO2 は悪者か

 CO2 が温暖化の原因であると世間では言われていますが、 CO2 と温暖化は相関関係があるだけで因果関係はない、 という主張も少なくありません (相関関係すら無い、と言う主張も存在しますが、それは置いておきます)

 そもそも人間が生産活動をすると、エネルギー効率が 100% でない限り、使えなかったエネルギーは環境を暖めてしまいます。 生産活動の何割かは CO2 を排出し、環境も暖める、人間の生産活動が原因で、CO2 と温暖化はその結果かもしれません。

 電気は CO2 を排出しないので温暖化をしない、という主張も正しくありません。 火力発電はエネルギーの約6割、 原子力発電 は約7割を環境に放出しています。 水力発電はダムの建設に、太陽光発電・風力発電もその設備の生産にエネルギーを使います。

 本当に CO2 は悪者なのでしょうか。 何が本当かは、皆さんが自分で考えていきましょう。


「山形県笑いで健康づくり推進条例」

  Yahoo! ニュース 山形県で1日1回笑うことが努力義務に。「笑うに笑えない」条例と反発も

 山形県では、「笑いの多さと死亡リスクの少なさに関係がある」という理由で、笑うことを義務付ける条例が可決されたそうです。

 この関係もあくまで相関関係であって、 因果関係としては、笑って暮らせる環境が原因で、笑いが増えることと、死亡リスクが少ないことが結果であるはずです。 笑って暮らせる環境を整えることこそ政治家の務めではないのでしょうか。