組合せとグラフの理論(塩田)第2回 (3) 頂点の次数
頂点の次数
頂点 $u$ に接続する辺の本数を「 $u$ の次数」と呼び、$\rho(u)$ と表します。( $\rho$ はギリシャ文字のロー )
Ex.3
では
- $\rho(u)=1$ ... 次数 1 の頂点は「端点」と呼びます
- $\rho(v)=5$ ... ループは 1 本で次数 2 と数えます(理由は後述)
- $\rho(w)=2$
- $\rho(x)=0$ ... 次数 0 の頂点は「孤立点」と呼びます
ちょっと脱線
「弧」は弓へん、「孤立点」の「孤」は子へんで、右側の瓜は「うり」です。
瓜
(うり)と爪
(つめ)の違いの覚え方は
瓜に爪あり、爪に爪なし です。
赤い部分 が爪で、爪のある方が実は爪ではない、というお話でした。
ループを 1 本で次数 2 と数える理由は
- その1 $v$ の近くだけ切り取ると 5 本の辺が出ているように見えるから:
- その2 次の定理を成り立たせるため:
Th.4(握手補題) 無向グラフ $G=(V,E)$ において、
全ての頂点の次数の和 $\displaystyle{\sum_{v \,\in\, V}\rho(v)=}$ $2$ $\times$ ( $G$ の辺数 ).
従って 次数の和は必ず偶数 になる。
証明 ループでない辺 $e=uv$ は $u$ と $v$ の次数を 1 ずつ増やします。
ループ $e=uu$ は、上述の数え方により、$u$ の次数を 2 増やします。
いずれにしても、辺を 1 本描くごとに次数の和は 2 ずつ増加するので。(証明終)
Cor.5 次数が奇数である頂点は偶数個ある。
Ex.3 では、辺数は 4 で、次数の和は
$1 + 5 + 2 + 0 = 8 = 2 \times 4$
であり、このうち、奇数は 1 と 5 の 2 個です。