組合せとグラフの理論(塩田)第10回 (4) 閉路とカットセットの双対性
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$\newcommand{\as}{^{\ast}}$
閉路とカットセットの双対性
$G$ を連結な平面グラフ、$G\as$ をその双対グラフとし、辺の一対一対応
$e$ $\longleftrightarrow$ $e\as$
によって $G$, $G\as$ の辺の部分集合 $C$, $C\as$ が対応しているとします。
$C$ $\longleftrightarrow$ $C\as$
このとき
Th.8
- $C$ が $G$ のカットセットであること $\ \Leftrightarrow\ $ $C\as$ が $G\as$ の閉路であること。
- $C$ が $G$ の閉路であること $\ \Leftrightarrow\ $ $C\as$ が $G\as$ のカットセットであること。
証明
(1) の $\Rightarrow$ )
$C$ がカットセットならば $G-C$ の頂点 ( $=$ $G\as$ の面 ) は 2 つのグループに分かれますから、
$C\as$ はそのグループ同士の境界線を含みます。
カットセットの極小性から $C\as$ は丁度その境界線に一致し、境界線は閉路ですので $C\as$ は閉路になります。
例えば正十二面体グラフ $G$ とその双対グラフ $G\as$ の場合、
図の点線部分のようにカットセット $C$ を取ると、
対応する $C\as$ は図の(点線の辺をまたぐ)赤い辺たちとなり、閉路になります。
(2) の $\Rightarrow$ )
$C$ が閉路なら $C$ の内側にも外側にも面( $=$ $G\as$ の頂点 ) があるので、
$G\as-C\as$ は 2 つの連結成分に分かれます。
$C\as$ の辺を 1 本でも元へ戻すと連結になりますので $C\as$ はカットセットです。
(1) と同じグラフ $G$ で図の青い部分のように閉路 $C$ を取ると、
(青い辺をまたぐ)赤い点線の部分が $C\as$ となり、$G\as-C\as$ を 2 つの連結成分に分けるカットセットとなっています。
(1), (2) の $\Leftarrow$ ) は $G$ と $G\as$ を逆にすると言えます。(証明終)