組合せとグラフの理論(塩田)第10回 (1) 双対グラフ

定義

 まずは定義から。
Def.1 平面グラフ $G=(V,E)$ に対し、$\newcommand{\as}{^{\ast}}$ その双対グラフ(幾何学的双対グラフ)$G\as=(V\as, E\as)$ を次のように定める。
  1. $G\as$ の頂点は $G$ の面のことである。
  2. $G$ の面 $\alpha$ と $\beta$ が辺を共有するとき、 $G\as$ の頂点として $\alpha$ と $\beta$ を隣接させる。
 何のこっちゃ、と思うかもしれませんが、描き方を聴くと意味が分かります。

描き方

描き方 
  1. $G$ の各面に点をひとつずつ打つ
  2. 隣り合う面に打った点同士を、境界辺をまたぐ辺で結ぶ。
 $\require{color}\textcolor{red}{G}$ の辺が交差していない ことが前提です。ここ大事!
Ex.2 正四面体グラフの双対グラフ(赤いグラフが双対グラフです。)
グラフの外側もひとつの面ですから忘れないように。
やってみよう Ex.2 をまねて立方体グラフの双対グラフを描いてみましょう。
やってみよう 車輪グラフ $W_6$ の双対グラフも描いてみましょう。

Rem.3 $G \cong H$ であっても、 平面グラフとしての描画が異なると $G\as \not\cong H\as$ となることがある。(今日の宿題を参照。)
Rem.4 $G$ が単純グラフであっても、$G\as$ にはループや多重辺ができることがある。