応用数学 第2回 (5) 積分因数 その1
完全微分形に帰着するテクニック
Def.11 (5.1) が完全微分形でないとき、
両辺に関数 λ=λ(x,y) を掛けた
(λP)dx+(λQ)dy=0
が完全微分形になるならば λ を (5.1) の「積分因数」と呼ぶ。
Ex.12 (3xy+2y3)dx+(xy2−x2)dy=0 ⋯⋯ (1)
P=3xy+2y3,
Q=xy2−x2 とすると
∂P∂y=3x+6y2, ∂Q∂x=y2−2x
ですから、
Th.8 により、このままでは完全形ではありません。
Technique 13 λ=xmyn の形の積分因数を探そう。
∂(λP)∂y=∂∂y(3xm+1yn+1+2xmyn+3)=3(n+1)xm+1yn+2(n+3)xmyn+2,
∂(λQ)∂x=∂∂x(xm+1yn+2−xm+2yn)=(m+1)xmyn+2−(m+2)xm+1yn
これらが等しくなるためには
{(n+1)=−(m+2)3(n+1)=−(m+2)2(n+3)=m+1
... 10月14日 10:30 訂正
であればよく、解くと
m=1, n=−2
となります。従って
λ=xy2
が積分因数になり、
(1) に
λ を掛けた式が完全微分形になるので
Cor.9 が適用できます。
g=∫(λP)dx=∫xy2(3xy+2y3)dx=∫(3x2y+2xy)dx=x3y+x2y
f=g+∫(λQ−∂g∂y)dy=g+∫(xy2(xy2−x2)−∂g∂y)dy=g+∫(x2−x3y2−(−x3y2+x2))dy=g
従って一般解は
x3y+x2y=C
となりました。