アルゴリズム論特論(塩田)第6回 (5) 逆数の手計算
法 n での逆数の手計算
多少は手計算でも逆数が求められるようになりましょう。
Prop.9 任意の法 n で
11≡1, 1n−1≡n−1 (modn)
証明 (n−1)2≡(−1)2≡1.
Prop.10 法 n が奇数であれば
12≡n+12 (modn)
証明 n が奇数ゆえ右辺は整数で、
2×n+12≡n+1≡1.
Prop.11
- n=3k+1 のとき
13≡2n+13 (modn)
- n=3k+2 のとき
13≡n+13 (modn)
証明 いずれも右辺は整数で、
(1) なら
3×2n+13≡2n+1≡1.
(2) も同様。
※ 右辺が整数である ところが肝心です。
同様に、
b が小さいときは
1b≡n+1b≡2n+1b≡⋯
のように分子に
n を足していって ( 引いてもいいです ) 割り切れたところが答えになります。
(
b が小さいので、じきにみつかります。)
たとえば、法
37 では
17≡387≡757≡1127=16(mod37)
となります。
合わせ技の例も挙げておきましょう。法
101 で
112 を求めたいときは
14≡−101+12=−25
から
112≡14×13≡−253≡−8−13≡−8−101+13≡−8−34≡−42≡59(mod101)
といった計算もできます。